金曜の午後、冷蔵ケースから3本ずれていました
大阪の住宅街にあるパン屋「こむぎ日和」。週末を前に、中村彩さんが瓶入りレモネードを数えると、店頭に残っていたのは11本でした。ところがSalesdocksの商品画面には14本と表示されています。
納品が足りなかったのか、レジで別の商品として会計したのか、持ち出しがあったのか。3本の差だけでは答えは出ません。彩さんは記憶だけで考えるのをやめ、今週のレシートと商品の在庫履歴を時間順に確認しました。

大きなミスより、少しの「あとで入力」が積み重なります
木曜の昼は来店が重なりました。現金でレモネードを2本販売し、レジ横のメモに印だけを付けて、落ち着いてから入力するつもりでした。その直後に予約商品の受け渡しが続き、メモは伝票の下に隠れてしまいました。
同じ朝には、複数の商品が入った納品箱からレモネードが1本届いていました。納品書を見ながら入力した際、数量を2本として登録していました。
在庫差は、ひとつの大きな事故で起きるとは限りません。忙しい店では情報が完全になくなるより、入力のタイミングが次の仕事に押されることのほうがよくあります。

販売記録が抜けると、画面上の在庫は実物より多くなります
まず販売分を整理すると、数字の動きが見えてきます。
- 開始在庫:16本
- 記録済みの販売:4本
- 記録上の残数:12本
- 販売したが未入力だった数量:2本
販売を登録すれば、その商品の予定在庫は減ります。登録がなければ、システムは商品が店を出たことを知ることができません。実物はすでにお客さまの手に渡っていても、記録上は2本が残ったままでした。

入荷数の入力違いでも、差は同じ方向に広がります
次に入荷分を確認します。
- 販売記録後の在庫:12本
- 入力した入荷数:2本
- 画面上の最終在庫:14本
- 実際に届いた数量:1本
- 未入力の販売まで含めた実在庫:11本
未入力の販売で2本、入荷数を1本多く入力したことでさらに1本。ひとつに見えた3本の差は、別々の小さな入力違いが同じ方向に重なった結果でした。

在庫履歴は、誰かを責めるための画面ではありません
数が合わないと、会話は「誰が忘れたのか」に向かいがちです。必要なのは担当者探しではなく、最後に数が合っていた時点から、どの増減が続いたかを確かめることです。
商品履歴では販売は減少、購入は増加として並びます。日付、数量、取引先をレシートや納品書と照らし合わせれば、記録が途切れた場所を絞れます。原因が分かったら、抜けた販売を実際の日付で追加するか、元の購入記録を修正します。現在庫だけを上書きすると、差は消えても理由が残りません。

今日は、動きの多い商品をひとつだけ数えてみる
店内すべてを一度に棚卸ししようとすると、在庫確認は重い仕事になります。まずはよく動く商品ひとつで十分です。
- 実物の数を数える。
- アプリの現在庫と比べる。
- 差があれば、最近の販売と購入を時間順に見る。
- 抜けた取引は実際の日付で追加し、誤入力は元の記録を直す。
在庫を合わせる第一歩は、何度も数えることではありません。商品が入った時と出た時を、同じ記録の中に残すことです。
ただし、販売と購入をすべて入力しても在庫が合わないことがあります。お客さまからの返品、仕入先への返品、閉店後の廃棄では在庫の向きが異なるからです。次の記事 返品と廃棄は在庫にどう残せばいい? で、その違いを整理します。